今年もこの時期が来た。昨年本戦1Rを勝っているため今年は本戦ストレートインだ。
負けられない。
そして今年も、ノーアド3セットマッチファイナル10Pタイブレークを最大1日2試合やらされる。過酷だ。
昨年から3セットマッチからファイナル10Pタイブレークに変更となっているため少しは楽になったのだが。
1R
相手は結果を見る限り予選を圧勝して上がってきた選手。テニスパーク湘南で優勝を数回している以外の情報はない。
とは言え、プレーを見ていないのでやってみないとわからない。まぁ、市の大会で圧倒される選手はシード選手を除けばそうそういない。3セットだし焦らず淡々と対応していく。
8本ずつのサーブアップと数ゲームで負けてはいけない相手であることがわかった。が、油断すれば足元をすくわれる。序盤、見積もった力を超えてくるプレーを何回かされ、ゲームカウント22となる。
ここで焦って悪循環に陥った経験がある。だから冷静だった。淡々と相手の様子を伺いながら自分のやるべきことに集中した。
いや、相手にアジャストするコツに気づいてから、序盤にひどい入り方をすることがなくなったから冷静でいられたと言った方が正しいかもしれない。この展開でアジャストできていなかったら焦っていただろう。
そして、ブレイクに成功。身体がほぐれてきたこともありそこから10ゲーム連取し、62 60で2Rに駒を進めた。
2R
相手は2年前の同大会本戦1Rで対戦した選手で、その時はファイナルセットでリタイアするかたちで敗退となっていた。
めちゃくちゃシコい選手なのだ。永遠と死んだようなムーンボールを深く打ち続けてくる。そのボールが本当に深い。
しかも、2年前は初戦だが、今年は2試合目だ。身体は保つのだろうか?いや、2年前から自分は確実に進化している。今日はリベンジしに来たのだ。
1stセット
相手のボールが想定より浅くなることが多く、序盤からポジションを上げることができた分、優位な展開を作ることができた。
実はこの日、集合した時に雨が降っており、まもなく止む予報だったため少し待機してからのスタートとなっていた。
雨上がりのオムニコートということもあり、こっちのボールが想定以上に低く滑ってきたためその返球を深くコントロールするのにてこずっていたようだ。
61でセットアップとする。
これは思ってもいなかった展開でラッキーだった。体力を想定していたよりも使わずにすんだ。
さて、それでも問題はここからだ。陽も出てきて蒸し暑くなってきた。この後必ず疲れが出る。その上、相手のパフォーマンスは上がることはあっても下がることはない。
2ndセット
第1ゲームの2ポイント目で嫌な予感がした。サーブを打った直後に左足の薬指がつりかけたのだ。
くそう…またか。
何とかキープし、チェンジコートでバナナを補給、ドリンクも多めに飲む。もちろん相手にそれを気づかせてはならない。
第2ゲームはプレーの精細を欠き相手にあっさりとキープされる。
第3,4ゲームも同様の展開。つまり、押されつつある。ゲームカウント22。
さらに、このあたりから相手のボールが深くなる。コートが乾いてきたのもあっただろう。相手のストロークがこっちのボールに合ってきた。1ポイント1ポイントが長くなっていく。
第5ゲーム、下半身の踏ん張りが疎かになりはじめ、先にブレイクを許し、第6ゲームをキープされる。ゲームカウント24。
第7ゲーム、再度下半身に鞭を打ち何とかキープ。34。
第8ゲーム、ここで再度プレーの質を高めることができブレイクバックに成功。さらに第9ゲームをキープしひっくり返す。ゲームカウント54。
しかし、それでも相手の目には光がある。
ここからボールが10往復以上するロンゲストラリーが2回、それらのポイントを分け合いゲームもお互いキープし合ってゲームカウント66のタイブレークへ。
もうずっと足はいつつってもおかしくない状態だ。相手のボールが速くない分、瞬発力を求められることが少ないため騙し騙し何とかなっている。
タイブレーク序盤は相手に流れを握られ2-4でコートチェンジ。それでもコート上の両者のパワーバランスは保たれていた。ウエイトトレーニングを重ねてきた自分の身体の強さを信じることもできた。
しかし、ここで再度ロンゲストラリーがあり相手に取られ3-6。相手のセットポイントでしかも相手サーブ。心が消えるのを感じる。
無心。
人間が命の危険に晒された時に発揮するアドレナリン・ラッシュ=闘争反応にすべてを委ねる感覚。
気づくと守りに入った相手の隙を突いて攻めていた。5-6。
自分のサーブになっても無心の状態が続く。サーブだけで2ポイント獲得し、7-6。
マッチポイント。
そのことを意識せざるを得なかった。無心状態が消える。相手のサーブだ。急いで頭を整理してやることを決める。
下半身からしっかり打点に入って相手の出力に合わせて永遠と打ち続けろ。それは守りでも攻めでもない。しかしおそらく、下半身からそれができれば自ずと攻めになる!
サーブに合わせるようにリターンを打つ、相手の3球目に合わせるようにしっかりと下半身から4球目を打つ。特別速いボールではない。しかし、しっかりと意志のある深いボールが相手のコートを捉える。相手は打点に入れず…。試合終了。
61 76(6)
勝ち切った。成長を確信できた勝利だった。
次は準々決勝。その相手は昨年のこの大会の2Rでやられた相手だ。こっちもリベンジする。