「私は管理職はやらない」
会社にはそう伝えている。人との関わりが増えるとそれがストレスになるからだ。
いや、営業として社外の人と関わるのは問題ない。そこには利害関係があり、人助けにもなる。それはビジネスの本質に迫れる瞬間だから面白い。
しかし、上司部下の関係はそれとはまったくの別物、面倒ばかりだ。新卒の新人など絶対に関わりたくない。理由は、日本の教育は若者に対して無自覚に間違った洗脳をし続けているからだ。
日本の教育の間違った洗脳とは「人は誰かに教えてもらわないと何もできない」だ。
人は皆、生まれ持っている好奇心を失わず、興味を持ったことに夢中になれる環境さえあれば、独学でなんでもできるようになる。情報化社会の今なら尚更だ。YouTubeで何でも学べる。見て真似すればできるようになる。
ところが、日本の教育機関は、約16年かけてこどもたちから自ら学ぶ能力を奪っている。特に公立の小中学校が致命的だ。
その結果、こどもたちはいつまでも自律も自立もできないままだ。そしてそのまま、社会の荒波に放り出される。そんな若者を部下に持った日には最悪だ。ビジネスどころではなくなる。
幸い、会社にも「管理職はやりたくない」ということを受け入れてもらえている。だから、40代の今も私はプレーヤーとして動いている。何より、売上を自分で作っている感覚が楽しくてたまらない。
管理職についている同僚よりは給料は低いかもしれないが、そこに私の価値基準はないからまったく気にならない。
ただ、最近、社内を見渡し、ちょっと心配になることがある。
今の会社でもっとも重要な部署と考えているマーケティング部の退職者があとを絶たないのだ。
心配になり思わずビジネス書「ビジョナリーカンパニー③衰退の五段階」に軽く目を通してしまったほどだ。
うちの会社の現状は衰退の五段階とは少し性質の異なるものだったが、その原因がマネージャーにあるのは明らかだ。
マネージャーは日本人だが、部長は本社のインド人、その部長は社長でもある。そのマネージャーは、社長とインド本社を敵視しているのだ。視座が低く、社長の立場を理解できない。だから、ぶつかり続けている。
そして、その周りのメンバーたちはその影響を受け優秀な者から辞めていく。
とはいえ、辞めていった連中も、社長の期待する成果を出せてないから惜しまれることもない。社長の口出しがつまらなくなり辞めていったにすぎない。
会社が期待するアウトプットを出せていないのだから、社長が口を出すのは当たり前だ。社長もマーケティング畑の人間だから尚更、しっかり結果で示してくれないと口を出さずにはいられなくなるのはよくわかる。
自分の仕事を自分のやりたいようにできるのは、持ち場でしっかり結果を出していることが大前提だが、辞めていった彼らはそれがわかっていないか、わかっていても「つまらないから辞める」となったかのいずれかだろう。
いずれにしても、真に優秀な人材を集めて強化しなくてはいけない。現在進行形で、会社にとって重要な部署が弱体化しているのだ。それも見ない振りをできないレベルだからさすがにまずい。
ちなみに、一般的に日本企業では経営陣や人事が人の配置を決める。つまり、管理職も誰かを任命して決める。悪く言えば、やらせる。
しかし、インドの文化なのか、社長を見ているとどうやらそうではない。やりたい奴にやらせている。社内に手を挙げる者がいなければ求人を出せばいい。そう考えている。
そして、個人的にその考え方が正しいと思っている。インド人は本質的で頭がいいから好きだ。
今はちょうど中途でひとりマネージャーを採用したタイミングだから無理だろうが、今後、適切なタイミングで自分が手を挙げれば、やらせてもらえる可能性はある。
今回は、その可能性も少し考えておこうと思った次第だ。
新しく入ったマネージャーも社長の期待するアウトプットを出せる人材とは思えていないというのもそう思ったきっかけのひとつだ。
自分がマネージャーになったら、何をどうするか。
次の4つをする。
1. 採用に注力する
まずはこれだ。最近、ふたり同時に辞めているからそもそも人手不足だ。かつ、昨日の投稿「営業よりマーケティングの方が尊い」に書いた通り、マーケティングは意志が強く自ら進んで動ける人材でないと務まらない。受け身の人間には無理だ。だから、そういうタイプの人を採用する。冒頭に書いたような自立できていない人間は絶対にとらない。
2. ゴールを共有する
メンバーたちに自分たちのミッションとチームのゴールを共有し、そこをしっかり腹落ちさせてもらうためのコミュニケーションを十分に取る。
3. 裁量を与える
メンバーに裁量を与え、ゴールを本気で目指している前提であれば、やることなすことすべて肯定し、全力で支援する。部下のためなら社長も説得する。
4. 失敗を歓迎する
例えその施策では期待する結果が出ないとわかっていても、本人が責任を持って自分で決めたことが失敗したという経験から学ぶことが重要と考えている。だから、何度でも挑戦の機会を与え、最終的な責任はマネージャーである自分がすべてとる。そもそも、結果が出ないとは限らない。自分は出せないが、メンバーなら出せる可能性もあると考える。
これだ。これをすれば、確実にうちのマーケティング部は改善する。