死ぬとき笑う

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シナーがメドベデフにやっていたこと

一昨日、マイアミオープンの準決勝でシナーとメドベデフが激突した。

 

個人的な予想は、「シナーが勝つだろうが、かなりもつれる」だった。

 

理由は、メドベデフはディフェンディングチャンピオンだからだ。負けたらポイントを大きく失う。トッププロは、追い込まれた時の方が明らかに強い。

 

今シーズンのシナーはまだ1敗しかしていないというとんでもない強さを見せているが、さすがにこのメドベデフには苦戦するのではないか。

 

ところがだ、蓋を開けてみると、62 61。シナーの圧勝だった。

 

朝、布団の中でこの結果を見て驚き、すぐにATP公式のハイライト動画を見た。

 

そして、驚いた。

 

ハイライト動画を見る限り、シナーは初めから最後まで、同じことしかしていないではないか。

 

動画を見ればわかるので、あえて具体的なことは書かないが、簡単に言うと、リスクをまったく取っていないのだ。そうすることで、ミスをしないメドベデフよりミスをしないで打ち続けていた。

 

キープポイントやブレイクポイント、セットポイントやマッチポイントではあえて、少しだけリスクを取りに行っているようにも見えた。だから、一本目でしっかり取り切っているケースが多い。

 

メドベデフはずっと同じことをやられているため身体が無意識にそのコースを待ってしまい、違うことをやられた時に反応が遅れてしまうのだ。ポイント的に追い込まれていれば尚更だろう。

 

そして、私はすぐに「これだ!」と思った。

 

このシナーの戦術は、今の私自身がもっともお手本にすべき戦術なのではないか?!と。

 

私には、体格的にも、打つボール的にも、周りの選手との比較的にも、シナーに近いところがたくさんある。

 

早速、週末の練習で試してみたところ、めちゃくちゃ大きな手応えを得ることができた。

 

土曜日は、ベテランJOP 45で関東を取り、全日本ベテランでもベスト4になっている選手が主催する練習会だったのだが、彼とも以前より明らかに打ち合うことができた。

 

しかも、彼にシナーのこの話をしたら彼はこう話してくれた。

 

「強い選手はみんな試合中、同じことばかりやりますね。

 

いろいろなことをやってしまうと、どれが効いていて、どれが効いていないのか、わからないしね。

 

私も、具体的には言えないけど、試合序盤は誰が相手でも同じことをひたすらやります。それは、相手のレベルを測る基準でもあります。

 

それが効いていればそれを続けます。効かないレベルの相手、あるいは対応されるようになってきたら、それまでの打ち合いをヒントに、次の手札を出し、またそれを続けます。

 

もちろん、効かないように見えた相手でも、すぐに次の手札にはいきません。そのプレーの質を少しづつ高めることで戦える可能性もあるので、まずはリズムを掴んでそのボールの質を高めることを目指します。

 

それでもダメなら次の手札を試しますね。それはかなり手強い相手ということになりますが。

 

そうしてないと、3セットマッチのような長丁場では、終盤まで隠し持っておきたい手札がなくなっちゃいますよね」

 

なんて勉強になる話なんだ。

 

日曜日は、某スクールコーチのベテランJOP選手とマッチ練だったのだが、このアドバイスを踏まえて臨んだ。そして、やはり手応えを得つつ、75 76(2) という接戦を制することができた。

 

最近のいくつかの気づきはすべて、私が試合に勝つために不可欠と考えていた「脳みそ改革」で、あきらかにテニス観が変わってきている上、良い結果につながっている。

 

これをしっかりものにして、必ず生まれ変わる。

 

最後に、メドベデフに対して完璧なプレーをするシナーのハイライト動画のコートレベル編を共有して終わりにする。