中学受験で偏差値70以上の筑駒、開成、聖光、栄光といったいわゆる最難関校の合格を目標とした場合、信じるべき指標はひとつだ。
「SAPIXオープンの学校別の合格率」
これ以外ない。
他の塾の模試でどれだけ合格判定や合格率80%が出ても、それは当てにしない方がいい。
息子の受験を終えて、家族3人でそれを確信した。
最難関校に入学する子供たちの大半がSAPIX生ということでもあり、その多くが他の塾の模試はそれほど受けていないということでもある。
息子は、本番までにすべての塾のほぼすべての模試を受けてきた。SAPIX、日能研、四谷大塚、早稲田アカデミー、啓明館だ。
そして、開成に関していうと、SAPIX以外のすべての模試で合格判定を獲得していた。それも1回づつとかではない、複数回だ。
そして、開成試験本番、終了直後「できた」という手応えを得ていた。それは、直前の早稲田アカデミーのNN開成そっくりテストを3回連続で合格し、その3回目は160人中7位で合格率80%を出したその手応えだ。
にもかかわらず、結果は不合格だった。
実は、3回受けていたSAPIXオープンでは開成の合格率はすべて40%だったのだ。
だから、これがもっとも信ぴょう性が高い指標と言える。
ちなみに、入試本番の14ヶ月前、これとほぼ同じアドバイスをくれた人がいた。
開成卒で東大に入学し、現在は東大の院にいる私のテニスの教え子だ。息子が開成を意識し始めたその頃、家族3人で会っていろんな話をしてもらった。
私が首都圏模試でトップクラスの成績を出した息子の実力に浮かれていた頃の話だ。
その時、彼はSAPIXをすすめてくれた。
SAPIXトップ勢は、首都圏模試など受けていない。戦わないといけない相手はそこにはいない。それを彼は知っていた。
彼は、SAPIXでは常に1番上のクラスで、SAPIXオープンにおける開成合格率は常に80%という猛者中の猛者だ。
「そうか、あのアドバイスは、開成に入学する子供たちの大半がSAPIX生という現実を実際に見てきた人間の完璧なアドバイスだったんだ」
結果論ではあるが、終わってはじめてそれに気づいた。
その時の私たちは、彼のその話を理屈ではわかっていたが、現実的には理解できていなかったのだ。
また、親である私たちが1番大切にしていたのは「楽しみながら学んでほしい」ということだったこともある。
尊敬している先生や仲間がたくさんいる啓明館を変えるべきではないと考えた。いや、何より息子もそれを大切にしていた。
だから、その代替案がプラスアルファで早稲田アカデミーに並行して通うという手段だったのだ。
その方針は悪くない。が、最難関校の合格がすべてとした場合、結果的にはその環境選びが仇となったのだ。
やはり「環境が人を育てる」のだ。
息子の中学受験では、息子の成長からも結果からも、それをリアルに感じ取ることができた。
最後に付け加えておく。
それでも私はSAPIXが1番いい塾だとは思っていない。ここで私が言いたいことは「最難関校を目指すならSAPIXオープン模試の学校別合格率で80%を目指すべき」だ。