死ぬとき笑う

だから、自分に正直に、自分のために。

学生選手たちとの距離を縮める

某大学で体育会庭球部のコーチを務めている。

 

とは言っても、月に1日だけ男女それぞれ2.5時間ずつコーチングをする程度だ。

 

例えば、部が最大の目標である「昇格」を成し遂げたなら、それは99%学生選手たちの努力の賜物だ。私の貢献度などたかが知れている。

 

それでも、お金をもらって請け負っている以上、それに見合うだけのサービスを提供するべきだし、学生選手たちの期待を超えたい。

 

そこには課題がある。

 

9月の中旬、彼らの集大成となるリーグ本番が終わった。惜しくも昇格とはならなかったが、彼らはこの一年で大きく成長した。

 

今回は、これまでの話ではなく、これからの話だ。

 

代がかわり新体制となった。男子部の新幹部とは週末に初回のミーティングを行い、そこでいろいろな意識合わせができた。

 

目標は昇格、そのための部の方針も確認できた。その方針はここでは秘密にしておく。月に一度のコーチ練で取り組む内容も年間で大雑把な計画が確定した。

 

またこの日、「年間の目標・方針・計画」以外に、「コーチの指導方針」と「コーチがしてあげられること」、また、「部がコーチに期待すること」を交換しながら意識合わせもした。

 

冒頭の課題意識があったため、今年は例年よりここをしっかり行ったわけだ。

 

私の指導方針はこのブログでも以前書いたが、簡単に言うと、「まず、自律自走の促進。それができてはじめてアドバイス」となる。

 

「自律自走」とは、部の目標を達成するためには試合と練習の質より量が重要であることを理解し、自ら量をしっかり確保できている状態を意味する。

 

もちろん、その量をこなしながら自分でいろいろ考え、経験から学び、成長していけていることが含まれる。

 

もっと言うと、自ら情報を取りに行く姿勢も含まれる。参考になる選手を見て盗む。ネットや雑誌の情報を参考にしながら自分なりにいろいろ試してみた上で、先輩やコーチに質問してヒントを自ら掴みに行く。

 

それができるようになって初めてコーチなど第三者からの浴びるアドバイスが消化できるようになるからだ。

 

それがないままにアドバイスを浴びると人は思考が停止してしまうのだ。

 

ところが、ここ数年、学生選手たちが今どのフェーズにいるのかを私は正確に測れていなかった。

 

理由は、私が学生からの自発的な質問を期待してしまっていたからだ。

 

これは私のミスだった。なぜなら、彼らと私は、彼らが私に対して気軽に質問できるほどの関係を構築できていなかったからだ。

 

彼らと私の関係は不十分だったのだ。

 

そして、このミーティングでこの私の問題を彼らに正直に話した。

 

そうしたところ、彼らはナイスな提案をしてくれたではないか!若い頭は本当に素晴らしい。

 

「土日祝日など、宮田コーチがテニスしたい時に私たちに声をかけていただければ、学校のコートで練習できます。私たちも誰かは自主練しているのでむしろ来て欲しいです」

 

なるほど!その手があったか。これは、一石二鳥だ。

 

自分の練習にもなる上、学生選手たちとの心理的な距離を縮めることができるではないか。

 

いや、これを彼らが提案してくれたことも本当に嬉しかった。部は、彼ら主導であるべきなのだ。彼らの意志なしに、昇格することはないのだから。

 

最後に、男子部が昇格するために、最も必要なことは何かについて意見交換して会を終えた。

 

それは、前主将が話していたことだ。

 

「自分たちが昇格できると部員全員が真に信じられていること」

 

昇格を逃した今年の経験を振り返り、それは信じることができていると話す彼らの言葉には、説得力があった。

 

新年度は、今年度以上に部に貢献する。

 

その日、早速、彼らの自主練に参加し、すでにその手応えを得ることができた。