死ぬとき笑う

だから、自分に正直に、自分のために。

3つのメトロノームを用意しておく

先日、小田原リーグ2部最終戦があり、シングルスはS1を担当したのだが、相手チームは作戦オーダーを当ててきたため、残念ながら対戦相手は事実上のS1ではなかった。

 

とはいえ、油断はできない。自分のパフォーマンスを上げられない可能性をゼロにはできないからだ。

 

しかし、この日は上手くパフォーマンスを上げられた。今回はその要因を分析して気づきに変えたい。

 

私の悪い癖なのだが、この日、対戦カードを見てすぐに「格下の相手」と考えていた。いや、明らかに作戦オーダーのため、両チームの誰もがそう見ていただろう。

 

これはつまり、自分のパフォーマンスさえしっかり上げられれば勝てるということなのでそれに集中することにした。

 

試合直前の相手との5分アップで相手のレベルを測るわけだが、この時に少し感じていたことがある。

 

「相手のペースに合わせて、少し出力を落としてアップをしてしまっているな」

 

と同時に、こうも思っていた。

 

「ただ、少し出力を落としているこの状態でも相手が自分のボールに反応できていないことがあるな」

 

そしてさらに、こう思った。

 

「こういう時、ポイントが始まった途端に、相手のペースを無視して、自分の理想の出力を目指すとそれが仇となって打ち急ぎのミスを量産することがあったな。今回は、腹圧は高めるとして、出力とペースはこのまま行こう」

 

この結果、ミスの少ない適切なプレーでしっかりリードを奪い、そのまま試合を終わらせることができた。

 

60 62

 

実はこれまで私は、自分よりもスローなペースの相手だと適切なペースを見つけるまでに時間がかかることがあった。しかし、今回の経験で大きなヒントを得たかもしれない。

 

遅めのボールもほぼマックスで振り抜いていけないと自分の良いプレーは引き出せないと思い込んでいた節があるが、これを改められそうだ。

 

これに関して、別のところでもうひとつ、その重要性を気づかせてくれた経験があった。

 

それは、土曜日夜の全日本ベテラン選手たちとの練習だ。

 

彼らは、私の速いボールにはまったくプレッシャーを感じてくれないのだ。それよりも、例えボールが遅くてもミスの少ないプレーヤーのことを圧倒的に嫌がっていた。

 

つまり、自分のベースとなる出力を少しだけ下げて、ペースを落としていい。ペースを落とせばミスは減る上、伸び代を持たせることで緩急も作れる。

 

常にマックスだと慣れられる上にミスも増える。

 

ただ、私にとって難しいのは、どれくらい出力とペースを落とすかだ。これは相手によっても異なるだろう。

 

そこで、もしかしたら上手くいくかもしれないと考えたのが「3つのメトロノームを用意しておく」という考え方だ。

 

1つ目は、自分と同じくらいの出力およびペースのメトロノーム。この相手が技術的には一番簡単でボールを打ち返しやすい。

 

2つ目は、自分よりも出力が強くペースの速いメトロノーム

 

3つ目は、自分よりも出力が弱くペースの遅いメトロノーム

 

試合が始まったらまず、相手に応じて適したメトロノームを選択する。

 

そして、一旦相手に合わせる。

 

ただし、どれを選択しても、腹圧は高い状態を維持する必要があるため、息を吐きながら打つのは変わらない。

 

ペースが遅いのにつられて腹圧まで落としてしまうとミスを量産することになる。どのタイプが相手でも腹圧は等しく高めるものと心得る。

 

さらに、ポイントは、一旦相手に合わせたのちに、ペースに変化を加えることだ。

 

その相手は、自分のペースよりも速い方がやりづらいのか、遅い方がやりづらいのかを見極めて、それらを要所要所で混ぜていく。

 

「まずは3つのメトロノームからひとつを選び、相手のペースに合わせてペースを掴み、次に変化を加える」

 

この手順が自分のパフォーマンスを安定的に最大化するコツのひとつかもしれない。

 

小田原リーグ最終戦のシングルスを経験する中で、そんなことを思った。