死ぬとき笑う

だから、自分に正直に、自分のために。

あるエンジョイ勢にイラッとして気づいた

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さて、先に断っておくが、この記事の主張は「エンジョイ勢が嫌い」ではない。

 

私はエンジョイ勢でもガチ勢でも、テニスを自分のために楽しめている人は皆素敵だと思っている。

 

ただ、エンジョイ勢の中には競技としてのテニスを勘違いしている人が少なくないのは事実だ。

 

先日、それに対してイラッとしたことがあり、今回はその経験から気づいた「自分の過ち」を書く。

 

念のため説明しておくと、アマチュアテニスプレーヤーの種類を大きく2つに分けて、エンジョイ勢、ガチ勢といったりする。

 

エンジョイ勢とは、健康や仲間との楽しい時間を目的にテニスをやっている人たちのことを言う。だから、彼らは勝ち負けよりもその時間を楽しむことを重視する。

 

ガチ勢とは、テニス協会公認大会で優勝することを目的にテニスをやっている人たちのことを言う。だから、彼らは勝ち負けを重視する。

 

もちろん、その中にも程度の差はあるが、わかりやすく言うとこのような定義になるだろうと今私が勝手に言語化した。

 

ガチ勢は、草トーナメントではなくテニス協会公認大会の、勝利ではなく優勝にこだわっている、といった方が私のイメージに近い。

 

ガチとエンジョイの中間にいる一見ガチ勢の方たちは、私にとっては皆中途半端でエンジョイ勢と考えている。

 

そして言うまでもなく、私は紛れもないガチ勢だ。

 

もう一度断っておくが、ガチ勢の方が凄いとか偉いとかそういう話ではない。

 

このふたつの間には往々にして大きな隔たりがある。価値観が違うからだ。

 

だから一緒にテニスをすることがあった時は、どちらかがどちらかに合わせる必要がある。いや、一緒にテニスをしない方がお互いのためだ。

 

さて、うっかりだったのだが、少し前にエンジョイ勢の練習に参加してしまった時のことだ。

 

そこは社会人テニスサークルで、代表の方は50代、その日の私はその方以外は皆初対面だった。コート2面で15人ほどいた。

 

その代表の方はウィンブルドンジュニアの男子シングルスで優勝した望月慎太郎選手のファーストコーチとしてテレビで紹介されたことがあるらしく、そのサークルは半ばその方のレッスンのようになっていた。

 

彼がその日のテーマを決め、時にデモンストレーションをするのだが、その日、彼は突然こう言った。

 

「今日来てくれている宮田さんは上手なのでお手本をしてくれます。皆さん見てください」

 

無茶振りに戸惑いつつも、私は笑顔で応えたりした。こうなるとどうしても「こいつはどうやらスゴい奴らしい」となってしまう。

 

練習が始まり、すぐにみんながエンジョイ勢ということはわかった。普通に笑顔でツーバウンド返球するのだ。要はまったく身体に鞭を打たない。

 

むしろ、「一生懸命になってたらダサくない?ムキにならずにクールにやろうぜ」的な空気を醸し出してくる人さえいる。

 

正直、これを感じた時点で「つまらん」と少しイラッとしていた。

 

レベルはみんな一般中上級といったところで、私にとっても十分に練習になる技術レベルがあるにもかかわらず、私を除くこの日のメンバーをレベル順に並べたトップ2が特にそんな感じだった。

 

エンジョイ勢は嫌いじゃないが、エンジョイ勢の中にたまにいるこういうタイプは嫌いだ。

 

わかりやすく言えば、2人とももともと自分に自信がないため自尊心を保つのに一生懸命なのだ。

 

この日も口を開けば誤魔化しや言い訳ばかり言っていた。それなりに打てるのに、人として残念な感じなのだ。

 

彼らからしたらガチ勢オーラ出しまくりの私の存在は都合が悪い。自分たちがしょぼく見えてしまう可能性があるからだ。

 

実際、私の影響を受けて劣等感が滲み出ているのを私は感じざるを得なかった。

 

そんなことを感じながら前半2時間の練習が終わり、後半2時間はダブルスで4ゲーム先取のマッチをすることになるのだが、問題はここからだ。

 

代表が面白がってみんなに私をこう紹介した。

 

「宮田さんは鎌倉チャンピオンだから、勝てば鎌倉取れるぞ!笑」

 

いや、確かに鎌倉市民一般ダブルスを取った過去はあるのだが、だいぶ前の話だ。

 

「まぁいいか」と思いつつ、とりあえずワイワイとダブルスをやることにした。

 

そして代表の計らいもあり、前述のトップ2ペアと2回対戦することになったのだが、結果私は2回とも彼らに負けた。

 

4ゲーム先取で両方とも彼らからサーブだったので負けてもまぁ仕方ない。彼らはそれぐらい打てる。

 

その後、トップ2のひとりが少し遠目でこう話しているのが聞こえてきた。

 

「俺、真面目に練習してない時の方が強いな笑」

 

さらに、それから彼の私に対する態度が少し変わった。ニヤニヤしながら寄ってくる。「同志だよね?」と顔に書いてある。

 

「いや、違います」と思いながら会話に付き合うことになった。

 

おそらく、こう思っていただろう。

 

「俺も、この人に勝ったのだから、やれば結構いいところまで行けるんだぜ」

 

私はそれに対してこう思っていた。

 

「いや、行けないよ。大会で優勝するのと、エンジョイダブルスで一勝するのとでは、必要な能力がまったく違うから、あなたには無理です」

 

そんな一日を経験した後、ふと思ったのだ。

 

「あ、俺も数年前、この人と同じことを考えたし、やってた。しかも、今もそう思っている節がある。ダメじゃん。俺もわかってないじゃん。改めないと」

 

以前、ベテランJOPランキング35才以上シングルスで当時11位、全日本ベテラン本戦出場選手に川角杯で勝ったことがある。

 

その時に、同じように考え、気安くその方に話しかけていた。

 

その時の彼の受け答えは、前述の社会人テニスサークルでした私の受け答えとまったく同じだった。

 

私「全日本ベテラン出場されてるんですね」

 

彼「いや、誰でも出れますよ。大したことないです」

 

この時彼は、私に対して同じように思っただろう。

 

「6先ノーアドで一回勝つのと、トーナメントで優勝、準優勝するのとはわけが違う。この人、それをわかっていないだろうな。けど、今自分がこの人に負けたのは事実。この結果は受け止めてもっと強くなる」

 

完全に調子に乗っていた。バカだ。浮かれてないで結果出せ。

 

これからは、もっと謙虚に生きる。