それは、ゴールに到達するために今やるべきことを正確に理解できているか否かだ。
これは息子と話していて気づいた。
例えば、テニスのガチ試合であればゴールは勝利だ。そして油断しやすいのはリードしている時だ。
この時、今やるべきことを正確に理解できている人というのは、それまでに逆転負けを経験してきた人だろう。
この時に自分は油断しやすく、それをそのままにしておくと勝利できないことを知っているから、「今やるべきこと」を見出している。
テニスの試合であれば、自分もたくさん経験してきたからわかる。油断は限りなくゼロに近づけられている自負がある。
ただ、テニス以外の場面では、たくさん油断しているなと、息子に気づかされたのだ。
息子はその時、「油断する」ではなく「うかれる」という言葉を使っていた。
今小6の息子は、中学受験の真っ只中にいる。入試本番まであと半年だ。
この頃になると、ある特定の学校の実際の入試問題を解くらしい。
最難関校を目指すこどもたちは、偏差値60ほどの学校の入試問題で満点を取ることも少なくないようで、息子もそのひとりだ。
ところが、塾の先生は最上位クラスの子どもたちにこういったらしい。
「偏差値60の学校の入試問題でこの時期に満点をとったが、本番で60以上の学校すべて不合格だった奴がいる」
私はその話を聞いて息子にいった。
「え?そんな奴いる?どうしてそうなるんだ?」
すると息子はこういった。
「うかれたんだよ」
なるほど。つまり油断ね。と思いながら私はひとり風呂に入った。
そして、風呂に入りながら思ったのだ。
そんな奴いる?と思った理由は、息子を見ていたからだ。
息子のゴールは偏差値60の学校ではない。だからこれは通過点で当たり前という感覚で、その後も猛烈に勉強している。
それを見ていたから、中学受験をするこどもたちは皆そうなのだろうと勘違いしていたのだ。
よく考えれば当たり前だが、うかれてしまう子もいる。
そして思った。息子がうかれない理由は、以前このブログにも書いたあの強みがあるからかと。
実は、息子はえげつない力を持っている。それが以下だ。
- 今の自分にとって最適な目標を設定する力
- その目標に対して今の自分の力がどれくらい足りていないかを分析する力
- その目標を達成するために今からやるべき行動量を見積もる力
- それを実行する力
これらがらあるから、これまでま実際に結果を出し続けているのだ。
いわゆる結果を出し続ける仕事のできるビジネスマンが当たり前にやっていることを小学生のうちからやっているのだから末恐ろしい。
ちなみに、息子は「俺は天才タイプではない」と言っている。「秀才タイプだ」と。
天才タイプとも実際に席を並べてきた上で、そう自己分析しているのだ。
そうか!息子がうかれない理由は、目標があり、この客観的に自己分析する力があるからなのか!
と妙に納得した。そして同時に思ったのだ。
そうか!あの時の自分はうかれていたのか!と。
それは、息子が小2の頃、テニスのオレンジボールの草トーナメントで3回優勝した時だ。
息子はうかれることなく、オレンジボールの上のグリーンボールはまだ早いと正しく見積もっていたにもかかわらず、うかれていた私は、グリーンボールに挑戦していこう!と提案したのだ。
息子は仕方なく、そんな父の期待に応えようと頑張ってくれていたのだ。
そのことに気づけていなかった私はエスカレートし、息子をテニス嫌いにしてしまった。
あの時の私はまさに、うかれたバカ親だった。
ちなみに、私は今もうかれている。妻も私も、息子のスゴさにうかれている。自慢の息子だ。
ただし、その安易なマインドのまま、息子に何かを提案することはしないと心に決めている。
我々より息子の方が正しい判断ができることを知っているから。