昨日、出社のため最寄駅から電車に乗るとアルバイトで週に1回教えているテニススクールの教え子に会った。
その子は私立の女子校に通う高校1年生で、学校でもテニス部に所属し、団体戦の主力メンバーとして活躍しているという話を聞いていた。
もう彼女をみはじめて3年以上たっているからよく知っている。
驚くのは、その彼女の性格はおとなしく、どちらかというと文化系という点だ。おっとりしていてマイペースなのだ。まったくガツガツしていないので、テニスも攻撃的ではない。自分のペースでひたむきに打ち合うタイプだ。
感情をあらわにすることもなければ、大きな声を出すこともない。いや、声は小さすぎるくらいだ。
ただそれでも、意志があることがわかったので、それを大切にしながら、これまで彼女のペースに合わせて対話をしてきた。
スクールでの彼女しか見れていないため、部活で主要メンバーとして活躍しているという話には正直感心するばかりなのだが、これらの結果はすべて、彼女自身の手によって築きあげられたものということだ。
おそらく彼女の中でそれは「生きる自信」に変わっているにちがいない。
そんな彼女が、昨日の電車でさらに驚かせてくれた。
彼女はもっと素晴らしいチカラを持った人だったのだ。
電車で彼女にどこにいくのかたずねたところ、少し恥ずかしそうに、「習い事をしていて」と答えてくれた。
どんな習い事か聞くと「ミュージカルです」という。
「え?ミュージカルってあの、舞台で大きな声で歌ったりするやつ?」と聞くと彼女ははにかみながらも笑顔で「はい。歌ったり踊ったり、演じたりするやつです」と答えたのだ。
しかも、聞くと明日が年に一度の舞台本番でそのリハーサルに行くのだという。しかもだ、彼女は主役を演じるというではないか!
本当に驚いた。あのおとなしい彼女が、歌って踊って、舞台で主役を演じるというのだ。
わたしは応えた。
「それ、観にいくよ。明日、仕事休んで観にいく」
そういうと彼女は嬉しそうにしてくれた。
というわけで、今日は急きょ有休を取得してミュージカルを観に行った。ミュージカルを生で観たのは今日がはじめてだ。
控えめにいって、めちゃくちゃ感動した。
ストーリーはもちろん、何より彼女の輝きっぷりに感動した。
なんて魅力的な、素敵な人なんだと思った。尊敬に値した。ファンになった。彼女の将来がいまから楽しみでならない。
いや、有名な俳優になるとか、そういう話ではない。素敵な大人になることは間違いなくて、それが楽しみでならないのだ。
人を見た目で判断しちゃダメだ。
こどもを見た目で決めつけちゃダメだ。
この舞台を観て、改めてそう思い、反省もした。実は、この舞台のメッセージもこれだった。
舞台の上のこどもたちは皆、本当に、輝いていた。その辺の大人たちなんかよりよっぽど輝いていた。
大人たちは、彼女たちこどもから学ばないといけない。
彼女にはやく伝えたい。とてもいい刺激を受けた。ありがとうと。