死ぬとき笑う

だから、自分に正直に、自分のために。

ひとりでどれだけ稼げるか

テニスばかりしているように思われているかもしれないが、実は仕事もかなり楽しんでいたりする。

 

今回は仕事の話をする。

 

自分のプロフィールを久しぶりに見たらこう書いてあった。

 

「本業はインド系IT企業のマーケ担当」

 

今はマーケと営業を兼務しているから修正しなくてはと思いつつ、これについて書きたいと思った次第だ。

 

実は私には、テニスコーチからIT企業のマーケティング担当に転身するという変わった過去がある。

 

大学を卒業してスクールの正社員コーチをしている頃にホリエモンが起業ブームを起こしていたその影響を受け、「自分ひとりで何もないところからどれだけ稼げるか試してみたい」という思いが湧き上がり、いわゆる脱サラをしたのがきっかけだ。

 

25歳の頃だったと記憶している。

 

社員コーチから契約コーチに変更し、レッスン数を生活できるギリギリのラインまで減らして、できた時間でどうやったらお金を稼げるか考え行動した。

 

といってもビジネスセンスは皆無。当時はそもそも世の中のニーズに応えるという発想がなかった。手に職という頭しかなく、かつ自分がやりたいことをやりたいという考えだけで行動していた。

 

行動力だけは昔から取り柄だ。

 

実は自分が子供の頃、父は六本木でデザイン事務所をやって3人の子供を養えるだけ稼いでいたのを見ていた。

 

さらに、そんな父と同じ美術大学を卒業していることもあり、ホームページ作成やWebデザインに興味を持ち、独学で仕事を取れるほどになった。

 

個人事業主の場合、自分の実力では年商わずか600万がせいぜいだとわかり次のステップに進んだ。

 

それが私がマーケティングの世界に足を踏み入れることになった経緯だ。

 

ちなみに、次のステップは先輩との起業で、それも失敗に終わっている。

 

脱サラして個人事業と起業を経験し、またサラリーマンに戻ってすこしたつ頃、ビジネスの全体像は簡単にいうと以下と理解した。

 

「人のためになる商品やサービスを生み出し❶、それにより救われるであろう人たちにそれらを知ってもらい❷、詳しく説明して理解してもらうことで買ってもらい❸、買ってもらった商品を正しく活用してもらうことでその人たちを実際に救い幸せを実感してもらう❹」

 

これらすべてをうまくやり続けないと継続的に利益を生み出すことはできないのだ。

 

企業では、それらのステップに対応する仕事を❶開発、❷マーケティング、❸営業、❹サポート(最近は、カスタマーサクセス)と言ったりする。それ以外にも経営、人事、総務などの管理系の仕事もあるが、お金の流れを生み出すビジネスの本質はこの❶〜❹にある。

 

個人事業主は、これらをすべてひとりでやるイメージだ。

 

起業家は、これらすべてをやろうと思えばひとりでできるが、ヒト・カネ・モノを上手く活用することで自分が担当する範囲を経営などに絞りながら、チームを大きくし、幸せにする人を増やすイメージだ。幸せにする対象は、買い手だけではなく、売り手として働く従業員も含まれる。

 

だから起業は尊い

 

話を戻す。テニススクールに例えるなら、コーチやフロントスタッフは商品そのもので、開発すべきは、指導法やレッスンメニューはもちろんのこと、語り口調やクラブハウスの居心地の良さ、シャワーなどの設備だ。オフコートの勉強会やマッサージサービス、ジム、テニスギアを開発してもいいかもしれない。

 

個人的には、指導法やレッスンメニュー、語り口調は必ずしも会社が担う必要はないと考えている。コーチ個々人に任せた方がいろいろなコーチに出会えて面白いともいえる。

 

営業やサポートはコーチとフロントスタッフが担っている。コーチのゴールはもちろんカスタマーサクセス、生徒の幸せを生み出すことだ。

 

開発とマーケティングは、現場とは別のところにいるケースもあるかもしれない。いや、すべてを現場のコーチに任せているブラック企業が多いというのが現実か。

 

また、マーケティングと営業の使命を簡単に説明すると以下となる。

 

マーケティングの使命は、商品を多くの人に知ってもらうことだ。ただし、ただ知ってもらうだけではダメで、興味を持ってもらうところまで担う。つまり、見込み客の獲得が使命だ。そのため、その成果は「商品の説明資料を請求してくれた数」や「お問い合わせしてくれた数」などで測られる。

 

営業の使命は、商品を買ってもらうことだ。こちらはシンプルで、その成果は「買ってくれた数」や「商談の数」などで測られる。

 

つまり、マーケティングが見込み客を集め、営業が見込み客に商品を売るという連携をしている。

 

このように、サラリーマンの現場は役割分担のあるチームプレーなので自分ひとりでどれだけ売り上げたかを厳密に測ることはできない。

 

それでも、前述の経緯で個人事業や起業を経験している私は、サラリーマンとして働く際も「自分ひとりでどれだけ売り上げたか」を強く意識している。

 

理由はシンプルで、もらっている給料以上に売上を生み出せないと、それは自分が会社のお荷物になっていることを意味するからだ。そんな人間にはなりたくない。そうではなく、自分はこれだけ会社の売上に貢献していると胸を張って生きたいのだ。

 

しかし、マーケティングの目標は前述の通り、売れた数や売れた金額ではなく、興味を持ってくれた人の数だ。

 

そのため、「これだけ興味を持ってくれた人の数を増やせたのだから、きっと売上に貢献しているだろう」といったぼんやりとした達成感にしかならないのだ。

 

私が意識したい「私はこれだけ売り上げた」にはほど遠い。

 

そして、極めつけは、マーケティングの仕事は誰かから「ありがとうございます」といわれる場面がほぼない。だからなおさら会社に貢献できている実感を得づらいのだ。

 

そこで、私はこの商品の営業にまで目を向けることにした。

 

マーケ担当をしながらこの商品が売れるまでを俯瞰して見るようにしたのだ。

 

そして、気づいた。

 

「現状は、この商品の売上を拡大させる肝は、マーケではなく営業にある」

 

これは言いかえると、マーケ担当はやるべきことをやっているけど、営業担当はやれていないということなので「営業担当がもっと頑張るべきだ」と言うこともできる。

 

しかし私は、まったく別のことを考えていた。私は会社にこう伝えた。

 

「今この商品はマーケティングが手薄になっても売上を上げられます。私にこの商品の営業をやらせてください」

 

すると会社は私にこう提案した。

 

「この商品のマーケ担当を不在にすることはできない。また、今はその空いた穴に他の人をアサインできる状況にない。だから宮田さん、マーケと営業、両方やりませんか?」

 

これを聞いて私はすぐ「あ、それ、面白いかもしれない」と直感的に思った。

 

「なるほど。少し考えて回答します」

 

そう答えたが、私の心は決まっていた。これを引き受けない手はない。

 

そんなわけで私は今、マーケと営業を兼務している。

 

兼務を初めて2ヶ月が経ったが、やはり直感は当たっていた。めちゃくちゃ仕事にやり甲斐を感じるようになった。

 

ここまで読んでくれた方はもうその理由をおわかりだろう。

 

見込み客を獲得して買ってもらうまでのすべてなら工程を自分が担うのだ。それはまさに、自分で売上を生み出しているといえる。

 

私が仕事に求める「自分がどれだけ売り上げを生み出しているか」という実感が半端ないではないか。

 

もちろん、売り上げた金額すべてを自分が生み出したものとは思わない。チームの成果だ。

 

それでも必ず、「この成果は宮田さんの貢献が大きいよね」と自他ともに認められるような結果を出す。

 

私は今、テニスはもちろん、仕事にも燃えている。