死ぬとき笑う

だから、自分に正直に、自分のために。

主催者が全日本ベテラン選手だった

今日は、朝4時に起きて準備し、5時20分に家を出たのだが、その甲斐があった。

 

現地に向かう途中に雨天に関する相談の連絡があり「小雨予報ですが強行したいです」と回答をしたのも吉と出た。ほとんど降られることなく最後までできた。

 

相手が全日本ベテラン選手であることは練習が終わった後に発覚した話だ。

 

しかも、カテゴリーも「シングルス40才以上」と同じで、そのベテランJOPランキング20位代。名前を聞いて上位の方とすぐにわかった。ランキング一覧の中のその名前に記憶があったからだ。

 

それを知ったのは練習後だったが、「この人は強い」とアップをしている時から感じていた。

 

明らかにミスが少ない。何でもコートに返してくる。

 

見た目に騙されるな。この相手は、自分の課題とフルに向き合わせてくれるはずだ。またここで、大きく成長しよう。

 

今日の課題は以下の2つだ。

 

  • キーアクション「解像度・運動連鎖・基本戦術」の実践によるパフォーマンス最大化の再現
  • 2ndセット以降の戦い方を模索しながら最適化

 

15分のアップが終わりマッチへ。ルールはファイナルスーパータイブレークデュースあり。

 

1stセット。

 

いつも通り、良い。ひとつ目の課題はクリアだ。パフォーマンスの最大化を再現できた。ただ、キーアクションのワードを以下に変更する。

 

「見て、運動連鎖。そして、基本戦術」

 

さらに、このキーワードキーアクションは主にストロークのためのものと考えていたが、サーブもこれで安定するという確信を得られた。この収穫は大きい。

 

直近2年間で見ても、この試合の1stサーブのイン率は最高だった。

 

そして結果もついてくる。

 

立ち上がり、4-0。

 

これは出来過ぎだ。相手の闘志はまったく揺らいでいない。勝負はここからだ。

 

相手がキープして4-1。

 

徐々に相手が対応し始めていることがプレッシャーに変わっていく。

 

ブレイクされて4-2。

 

相手の返球回数が1本、2本と増えてくる。しかも、こっちの攻撃的なショットを凌ぐようにループで、しかししっかりと深く。そう、相手はベテランならではのシコラーだ。

 

こっちが打ち切れるか、相手が粘り切れるかの戦い。もちろんこっちが甘い返球をすれば相手も攻めてくる。

 

キープされて4-3。

 

「想定内」と言い聞かせる。まだワンブレイクある。「結果を気にするな。見て、運動連鎖。それに集中だ。可能であれば、チャンボを落とさずライジングで捕らえろ。時間を与えるな」そう言い聞かせてまた試合の世界に戻る。

 

「試合の世界」

 

これは、メンタルの話だ。試合モードといった方がわかりやすいかもしれない。その世界に入らずにプレーをすると格段にパフォーマンスが落ちる。わかりやすく言えば、荒くなる。集中できなくなる。余計なことばかり考えるようになる。

 

「見て、運動連鎖。そして、基本戦術」これは、その世界に入るための合言葉でもある。

 

この場面、相手が追い上げてきているこの場面こそ、その世界に入れないままズルズルといくのがすべての人間が持つ弱さだ。

 

それがわかっていたからか、この時は上手く入っていけた。

 

キープして5-3。

 

相手も超集中モードに突入しているのが伝わってくる。とても良い。それでもチャンスはあった。40-40に持ち込む。しかし取れない。

 

相手がキープして5-4。

 

きた。自分にとってもっとも難しい「ゲーム」のひとつ。サービング・フォー・ザ・セット。

 

チェンジコートでしっかり休み、十分な水分補給と、この試合一口目のウィダーインゼリーを口に含む。サービスポジションに入りながら大きく深呼吸をする。「見て、運動連鎖」試合の世界に入りなおす。1stサーブが入る。今日は本当にサーブがいい。しかし、スライスで高く、そして深く返ってくる。打ち合う。楽なゲームになるわけがない。それが試合だ。

 

40-15。

 

またきた。自分にとってもっとも難しい「ポイント」のひとつ。2ポイント以上離したセットポイント。

 

ここで最高のパフォーマンスを発揮し、しっかり取り切る選手を自分は目指している。ベテランJOP上位に君臨する強者たちはそれをしっかりと、抜かりなくやるのを私は知っているからだ。特に1stサーブがエグい。センターまたはサイドライン上に決めてくる。

 

今の自分はまだそれを打ち切れるレベルにないことが良くわかっているため、自分の基本戦術では、この1stサーブはフラットでボディと決めている。

 

にも関わらずだ、それを失念し、スライスをワイドに打ちに行っているではないか!しかも、フォルトしてからそのことに気づく始末。

 

痛恨のミス。いや、相手との勝負においてはそこまでのミスではないが、自分との勝負においては、私にとってこれは痛恨だ。

 

(と書いて今気づいた。勝負において痛恨のミスではないのに、それを痛恨のミスと考えメンタルに影響をきたすのは明らかに間違いだ。そして、この思考に陥る原因は、練習モードだからだ。「ここが大事なポイントだから、ちゃんと取り切らなきゃいけない」と考えてる時点で練習モードだ。試合モードならこれからやることに、つまり私の場合は「見て。運動連鎖。そして、基本戦術」に、フォーカスしているはずだ)

 

平常心を装い2ndサーブを打つ。基本戦術通り、ボディへ振り抜く。フォルト!

 

「あぁッ!こーゆーとこッ!!これを克服するためにやってるのにィーーーッ!!!」

 

これまでネガティブな感情は一切見せてこなかったが思わず叫ぶ自分がいた。1stサーブで基本戦術を失念した上にダブルフォルト。思わず感情が露わになった。やっぱり練習モードになっていたのだ。そのことに気づいて瞬時に発声する。

 

「よしッ!もう一回(トライだ)ッ!」

 

ネガティブな感情が露わになったら瞬時にポジティブな発声で上書きし気持ちを即切り替えることが癖づいているため気づいたらそう発していた。

 

大きく深呼吸して心の中で唱える。

 

「見て、運動連鎖。基本戦術、1stはボディ」

 

1stが入る。相手もしっかり深く返してくる。打ち合う。相手の球が浅くなりライジング気味にしばいてネットへ。相手のボールがネットにかかる。

 

「カモンッ!」

 

と言った直後、40-15を取り損ねた自分に苦笑いしている自分がいた。くそぅ。

 

けど、本当にこういうとこだと思っている。それが、目標の神奈川県テニス選手権シングルス年齢別優勝を果たすために不可欠な能力なのだ。

 

そのレベルは、もちろんしっかり活動すれば全日本ベテラン選手にもなれると考えている。それでも今はそれは目指していない。あくまでも県選手権優勝が今の目標だ。

 

話を戻す。

 

2ndセット。

 

きた。1stセットを取った後、体力の半分以上を使った後、ここからが本番だ。

 

自分は比較的出力の高い攻撃的なプレーヤーだ。それは相手よりも体力を消耗しやすい。2ndセットは明らかに1stセットとはコンディションが異なる。同じプレーはやりたくてもできないのだ。しかも相手は自分のボールに慣れてきている。

 

だから、2ndセットの戦い方は変えた方がいい。そのことに最近ようやく気づき、それを最適化するという課題に取り組むことにした。

 

しかし、今日の2ndセットの立ち上がりはあえて変えないという選択をした。

 

理由は、最近、運動連鎖によるパフォーマンスの最大化に気づき、以前より省エネで出力を上げることができるようになったからだ。

 

1stゲームはいきなりブレイクに成功し、2ndゲームをキープ。

 

これは、運動連鎖の効果か?

 

違った。相手がここで気持ちを引き締めてきたのがわかる。プレーの質が上がった。しっかりキープされる。勢いそのまま、その次の自分のサービスゲームもブレイクされ2-2。

 

この4ゲームで、やはり運動連鎖を持ってしても、1stセットの立ち上がりと同じプレーを持続することはできないと確信した。

 

いつも通り、明らかに「判断ミス」が多くなったのだ。

 

体力不足による、集中力不足がその原因だ。

 

もちろん、体力をつければいいという話はある。それは、怪我をしない範囲で少しずつやっている。それと並行して、戦い方を最適化する必要があるのだ。

 

1stセットを出力を抑えるという話はあるが、それは相手による。明らかに格下であればできるが、今日の相手はそれはできなかった。

 

1stから変える方法があるとするなら、運動連鎖の気づきのように、例えば、ライジングでより楽に打てるようになり時間と空間も駆使できるようになって省エネ化するといった方法だろう。

 

今、考えながら書いたが、これはいいアイデアだと思ったので取り組んでいくことにする。

 

その後、2ndセットは当初の予想通り、シーソーゲームになった。

 

相手のペースになってきているのを感じつつも踏ん張る。お互いのキープが続き、4-5で自分のサービスゲームを迎える。

 

次を取られたらセットを落とすという場面の上、相手ペースになりつつあると感じているこのゲームは簡単ではない。

 

しかし、この時は奇跡的にその打開策に気づけた。

 

まず、すべてが後手後手になっている。その原因は、ラリーを支配しに行く、ラリーの主導権を掴みに行くという意志が皆無だったから。ラリー展開のイメージがないままに、相手に打たれたものをただ返すだけとなっていたから。

 

4-5のサービスゲーム。ふたたび大きく深呼吸。「見て、運動連鎖」と唱えて試合の世界へ。主導権を掴みに行く。自分で言うのは変だが、息を吹き返したようなプレーでしっかりキープし5-5。ここでタイムアップとなった。

 

6-4 5-5 時間切れ

 

2ndセット以降の戦い方は見出せなかったが、ヒントはたくさん得た。とても収穫の多い、質の高い練習だった。

 

対戦相手には感謝しかない。

 

最後に、試合後の相手のコメントを書き留めておく。

 

「宮田さんは課題、課題と話されていますが、私にはそれがわかりませんでした。とても質の高いプレーをされていたのでずっと大変でした」

 

つまりこれは、前述のカッコ書きした内容を示唆している。

 

課題、課題と言っている時点で、練習モードだったのだ。限りなく試合モードに近い練習モード。間違いない。

 

このことにも、はじめて気づけた。

 

あぁ、この記事の長さが、収穫の多さを物語っている。控えめに言って、最高の2時間だった。

 

当たり前だが、強い人とやった方が早く成長できる。目標を達成するためには環境選びが超重要。引き続き環境は選ぶ。