先日「軍隊のようにチームを運営した方がいいケース」という記事を書きました。
今回は、その具体的な話を書き留めておきたいと思います。
大学の体育会庭球部のコーチをしているのですが、女子は既に来年に向けて活動しており、新体制、新幹部でこれからの一年間をどうしていくかという話し合いをしました。
そこで、彼女たち自身が最優先課題と定めたのが「選手としてのフィジカルを作る」でした。
心技体でいう、心(頭)にも技にもまだまだたくさんの伸び代がありますが、最優先として体に着目したのは正解だと思います。
ただ、彼女たちは一年の初めの3ヶ月で集中的にフィジカルを強化するという発想をしていたので、私はそれに異論を唱えました。
「トレーニングは習慣化した方がいい。なぜなら、やらない期間にやっていた分の筋肉は衰えるから。また、正しいフィジカル強化はやっただけ成果に繋がるから」
他にもいくつかの理由を説明したところ、彼女たちもそれに納得していました。
次に、どうやってトレーニングを習慣化するかという話になり、そこに軍隊式の話が関係します。
実は前年に、同様の課題意識から年度の一番初めにトレーニング指導をし、その実践は各自の自主性に任せるということをやっていました。
その結果、誰もやらなかったのです。
私はとても残念に思いましたが、それが彼女たちの選んだ幸せなのだから、私がそれ以上のことを言う必要はありません。リーグ本番の結果は予選敗退。当然の結果です。
新体制にはそれを経験しているメンバーが幹部にひとり含まれ、私がこの話をすると反省をしているようでした。
そこで私はこう伝えました。
「だから、週3回3時間の合同練習があるなら、毎回最後の30分を皆んなでトレーニングに当てた方が、各自の自主性に任せるよりはチームの底上げにつながるかもしれないですね。これは、一年を通して習慣化することを目指した方が成果につながりやすいと思います」
彼女たちはこれにも納得しそれを採用すると話していました。
せっかくオンコート練習ができるのに、その時間を犠牲にしてトレーニングに当てるのはもったいないという考え方もあるので、それも伝えた上での彼女たちの選択です。
ちなみに、私がオンコートで練習する量は試合本番も含めて、週3〜4回、1回1.5〜2時間、1対1で超集中して取り組むイメージです。
それを彼女たちの最低ラインとするなら、そこはクリアしていると考えています。
もちろん、それで満足せず、テニスが大好きすぎて自主練も夢中になって死ぬほどやる部員が現れることを願っていますが、私がそれを主張したところでなんの意味もありません。
さて、話を戻して、ここからは効果的なトレーニングとは何かについて書きたいと思います。
強化すべき力は大きく次のふたつに分けられます。
- 瞬発系
- 持久系
トレーニング効果を最大化するために、この両方に共通する重要事項が次の2つです。
- トレーニング中は常に腹圧を抜かない(テニスのプレー中も同様)
- 大きな筋肉(腹圧、お尻、太もも、ハムストリング)を意識して使う=鍛える
これらをまとめて別の言い方をすると、以下となります。
「腹圧を理解した上で、目標達成に必要なだけ、体幹・下半身の筋力・フットワーク・持久力を強化する」
ちなみに、上半身はテニスをする中で自然とつく程度でOKと伝えています。
また、週2の平日の練習後は瞬発系、週1の土日の練習後は持久系トレーニングをそれぞれ30分以上実施することにしています。
目標達成のためそれ以上やる必要がある人はやるが、怪我をしない範囲で目標達成に必要なだけ追い込むことが重要とも伝えています。
怪我をしたらそれはわかりやすい失敗です。
最後に、提案したトレーニングメニューを紹介します。次の指導日は、腹圧と瞬発系メニューについて指導します。
平日合練後(瞬発系)
- 体幹×腹圧確認
- ダイアゴナル20s×2
- プランク20s×1
- サイドプランク20s×2
- 慣れてきたらレスト10sのサーキットにする
- これらはすべて腹圧を高めるトレーニングのためそのことだけ意識します
- 下半身×腹圧確認
- サイドランジ20×4
- 慣れてきたらレスト30sのサーキットにする
- 腹圧に加えて、股関節を正しく使い、お尻と太ももの筋肉を強化します
- サイドランジ20×4
- 単純動作×腹圧確認
- コート1面ラン3周(3周目はサイドステップとクロスステップ)
- 一歩目動作6×3×2
- ダブルニージャンプ10×2
- これらは動作の中で腹圧が活かされていることを意識します
- フットワーク×腹圧確認
- 小刻みラインまたぎ前前後後2本
- 小刻みラインまたぎ前後後2本
- これらは腹圧に加え、足を細かく速く、下手に力まず、イメージ通り動かすことを意識します
- スプリットステップ3mフットワーク素振りサイドステップ10×4
- 目標とするレベルの試合で実際に相手と打ち合っているのと同等の強度とスピードで行います
- タイムアタックスパイダー1本
- スライディングフットワークを使いながらいろいろなことを感じとりながら自分史上最速を目指す
土日合練後(持久系)
- 有酸素運動×腹圧確認
- 砂浜まで平地ラン
- 15分以上砂浜ラン
- 部室まで平地ラン
- 基本レストなし
- 常に腹圧を高めて、骨盤が前傾で安定していることを確認しながら=軸をぶらさずに
それではまた!