週1回でアルバイトコーチをしているのですが、担当しているジュニアクラスに体験の子が来て、その子に心を動かされた話を書きたいと思います。
あの感情はなんだったんだろう。今、そう思いながら書いています。
たぶん、尊敬と悔しさが掛け合わさっていたんだと思います。だから、とても複雑な感情だったのだと思います。
そのクラスはジュニア中級クラスで、今は中学1〜3年生で構成されています。その日は男子5人が参加していました。
皆、マイペースにテニスを楽しみながら、けど上達していく自分に喜びを感じている子どもたちです。
逆に言うとガツガツしていません。今現在の活動範囲を飛び出して、試合に出場するようなことはしていません。
ご家庭の方針などにも配慮しつつ、ある程度の意志とレベルに達したらそういった活動もおすすめしますが、まだこのクラスにはそういった子はいません。
そこに小学5年生が1人、体験に来ました。
彼は既に活動の範囲を外に広げているタイプでした。つまり、本番の試合で勝ち上がるためにテニスをしているということです。
テニスに対する考え方も姿勢も、そのクラスの中学生たちの先を行っています。
私は素直に尊敬の念を抱きました。その気持ちは彼と別れる最後まで変わりません。
その日はダブルスをしたのですが、5人の中学生たちは小学生1人に飲まれかけている状態。皆、本来の良さを出せずにいました。
そんな彼らを見ていて、既に小さな悔しさが込み上がってきていたのだと思います。それでも黙って見守ります。
次第に、小学生の彼は物足りなさを感じてきます。わかりやすく言えば、みんなのミスが多いからつまらない。
しかも、もともとシングルスをやりたくて来ているのに、ダブルスをやることになり、パートナーのダブルフォルトが続き何もしてないのに負けることもある。
年齢以上に大人な面を持っているさすがの彼も、「つまらない」が態度に出てしまいました。
一番はパートナーに対する不満だったと思います。
それを見た時、私の悔しさは最高潮に達しました。
けど、これは私が未熟なのだと直感的に感じていました。なぜなら、子どもを比較した結果生まれた感情だからです。そのため、彼への尊敬が減ることはありませんでした(もちろん、5人の中学生たちへの尊敬も)。
理想をいえば、ダブルスパートナーに不満を示す選手はまだまだ未熟です。彼が体験の子でなければ、私はそのことを彼に話していたかもしれません。
それでも、彼はまだ小学5年生です。そういうところがあっても何も不思議ではない年齢で、むしろ、自然なことです。
さて、レッスン後、私は彼のお母さんにこう伝えました。
「今日はありがとうございました。彼とも少し会話しましたが、結論から言うとこのスクールには彼のニーズを満たすクラスはありません。いやもちろん、入っていただけた方がスクールとしてはありがたいのですが、彼にとってそれはベストの選択ではないと思います。同じような志を持っている仲間がいるスクールに通うことをおすすめします」
選ぶ環境は、本当に重要なんです。
特に重要なのが「人」。その子が関わることになるコーチと仲間たちが、どれだけ同じような価値観で、同じような将来に向かって、本気で活動しているか、それがとても重要です。
私は、ビジネスよりも、どうしてもその子の将来を第一に考えてしまいます。
どう頑張っても、今回の彼を自分のいるスクールに引き入れることはできませんでした。
その後、「商業テニスコーチなのに、これで本当によかったのか?」と自問自答し悩みましたが、これを書いて、やっぱり間違いではなかったと、今は思えています。
私は、私の信じる道を歩みます。
それではまた!