死ぬとき笑う

だから、自分に正直に、自分のために。

スクール生のミスが激減した話

最近、試合で相手とボールを打ち合う際の「相手を見る」ことの重要性を理解したことをこのブログでも書いてきました。

 

それを先日、テニススクールで教えているある男子ジュニアに伝授したのですが、今日はその結果と、そこでの気づきを書き留めておきます。

 

結論からいうと、その男子にそのアドバイスはどハマりしました。それを伝える前と後で明らかにミスの数が減りました。

 

ジュニアの話しですが、この子は大人とも遜色ない体つきで、プロを目指したり、特に実績がある訳ではないので、今回の話は一般中級以上の方にも当てはまる方はいると思います。

 

たまたまその日はその子ひとりだったこともあり、普段できないことをやろうということで、10分アップをしてガチの3セットマッチをしました。

 

自分のペースで試合に集中してほしいので、試合中のアドバイスはなし。

 

結果は私から61,60でした。まぁ、コーチと一般のジュニアなのでよくある結果です。

 

このカウントはある意味どうでもよくて、ここからがレッスン本番です。

 

試合後まずはヒアリング。特にジュニアには自分で考えることを癖づけるため質問攻めしつつ考え方を教えていきます。

 

私「試合中、特に2ndセットに入る前、どのようにプレーを改善することを考えた?」

 

彼「打ち合っても結局やられるから、1stサーブの確立を上げて、甘くなった3球目をしっかり攻めようとしました」

 

私「なるほど。やられる前にやるという発想だね。結果的にはどうなった?」

 

彼「全然できませんでした」

 

私「そうだったね。この発想はやり切れる技術力を持ち合わせているのであれば間違ってないと思う。だけど太郎(仮名)の場合はむしろミスが増えて、甘いボールが来る機会が減っていたね。

 

こう考えてしまうのは経験が浅い人がよくやる過ちなんだ。

 

打ち合っても結局やられると言ったよね。それはそうかもしれないけど、だからと言って攻めた方がポイントが取れるとは限らない。

 

相手のレベルを問わず、考えるべきはやるかやられるかという「結果」ではなく「相手の心理」なんだ。

 

相手が嫌がることをするのがテニスだよね?」

 

彼「はい」

 

私「例えば、

 

① 太郎がいいショットを打って、コーチはそのボールに追いついたけど返せなかった。

 

② 太郎がいいショットを打って、コーチはそのボールに追いついて返すけど太郎のチャンスボールになり、太郎はそれを決めた。

 

どっちが楽?」

 

彼「①の返ってこなかった方が楽です」

 

私「そうだよね。そっちの方が楽だ。触れたのに返せないというのは、相手が楽で喜ぶことをしているのと同じということだよね。

 

今の試合はコーチは楽だった。何もしてないのに勝手にポイントが積み上がっていく感じ。

 

つまり、例え相手のチャンスボールになったとしても、返した方がいいということだね。

 

それをしていれば、「あ、こいつ最後まで諦めないで返してくる。油断せずに決め切らないと」というプレッシャーを与えられる。

 

例えチャンスボールを与えていても、相手は意外と嫌がってくれているってことだ。

 

それをした時としなかった時とでは勝率が大きく変わってくる。

 

どお?ここまでの話、納得できた?」

 

彼「できました」

 

私「じゃあ次なんだけど、どうすればミスで終わらせないで、返して終わらせる状態を作れるか考えてみよう。

 

今の試合、何ができてないから返せなかったんだろう?」

 

彼「…ボールに追いつけてないから、かな…」

 

私「そう!コーチもそう思う!ボールを追いかけるけど、反応が後手後手になっていたよね。

 

テニスの場合、ボールに追いつくために必要なのは一歩目の早さだよね。

 

じゃあ、一歩目を早くするために、スプリットステップよりも重要なことは何?」

 

彼「見る、こと?」

 

私「そう!それ!一歩目を早くするためには相手をよく見ている必要がある。

 

そうすると、どこにどんなボールが飛んでくるか勝手にイメージできて、勝手に一歩目が早くなって、驚くほど余裕が生まれるから。結果的にミスを減らせる。

 

じゃあ、相手を見ることだけに集中して、もう1セットやってみよう」

 

という感じでやってみたところ、私が想像していた以上にミスが減り、油断していた私がプレッシャーを感じてしまい笑 、立ち上がり3ゲーム連取されてしまいました。

 

彼も自分でその変化に驚き、手応えを得たようで、こうも話していました。

 

彼「自分が打つことを考えなくなったらむしろ良くなりました」

 

私「そうなんだよ。不思議だよね。つまり、相手を良く見ることで、目から解像度の高い情報を取得すると、あとは自分の脳が勝手に対応してくれるってことなんだよ。

 

自分がどう打つかばかり考えて視野が狭くなっている時は黄色信号だね。そんな時は、自分の身体から遠いところにいる相手まで視野を広げることを心がけよう」

 

最後にこの経験を通して気づいたことです。

 

彼はこのアドバイスがハマりやすいタイプだったのだと思います。要は、私と同じタイプ。相手のことを考えられず、自分のプレーのことばかり考えてしまうタイプです。

 

改めて、ハマるアドバイスはタイプによって異なるものなんだなぁと。

 

というわけで、このタイプの方は是非試してみてください。

 

それではまた!